現代怪談 地獄めぐりを読みましたという話

なんと言うか、こんな感じなんだろうな、と想像してた通りのものをお出しされた感じでした。こういう本読んでる時が、一番何にも考えなくてよくて、幸せかもしんないです。

中でも「モーテル」は、女をナンパしてツーリングしてたらモーテル見つけた→ヤれるぜ!と思ったら女が化け物だった…?っていうわかりやすい怪談メソッドに沿った作品で、読んでて楽しかったです。怪談において、女って消えがちですよね。ハゲのオヤジをタクシーに乗せたら、墓場の前でそいつが消えてたなんて話ないんですかね。やっぱ雰囲気でないし無理か。

他にも、韓国の地下鉄ホームで、気持ち悪い人形持ってる老婆見かけた→帰国、東京のホームにもいる!話しかけてきた!しかもこれ人形じゃねぇ!な展開だった「地下鉄」とか、スラスラ読める短編があってよかったです。

ただ「同居人」はちょっとなんとも言えないです。大筋は、おじいさんの家に訪問したら、帰り際におじいさんが「井上さん」に話しかけてた。中年女性の声も聞こえてきた。主人公、ヘルパーの人だろうと判断。その後、近所の人に話を聞いてみたところ、「井上さん」は猫の名前で、ヘルパーはいないらしい。一体何だったんだ…って感じなんですけど、これおじいちゃんがボケてきてるだけじゃないですか?確かに、中年女性の声は何なんだよって疑問は残りますけど、普通に親類とか、懇意にしてる訪問販売の人とかで説明できますよね。少し不思議な話ではあるんですが、怪談かな…いや怪談かも…といった気持ちです。あと最後の「現在、家のあった場所には、立派なマンションが建っている。」がすごい不思議な締めです。別に怪奇現象でおじいさんが死んだわけでもないのに、この締め方なんですね。