仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインドの感想

・胡桃玲菜について


 北崎社長の率いる新生スマートブレインで、ライオトルーパー部隊を引き連れオルフェノク狩りをする仮面ライダーミューズな彼女。
 Vシネのオリキャラとして彼女に与えられた物語上の役割は、真理をオルフェノクにして巧と急接近させる事だが、それに至る過程が良い。

 巧さんと一緒に戦って、オルフェノクを殲滅してハッピー!戦闘後は二人でお話して、まだ熱い飲み物はフーフーさせてくれないけどハッピー!
 そんな毎日に、突然巧さんの昔の女(真理)が現れちゃう。しかも、何かしっとりした雰囲気。
 許せね~~と実力行使に出るが、その手段が「真理をオルフェノクにする」というもの。

 この不器用で愚かな行為が最高に可愛いな~~と思う。
 こそっと殺せば傷心の巧さんに取り入れるのに、わざわざ拉致してオルフェノクにする手術という、手間のかかる事しちゃう。なんで彼女がこんな事したか考えると、以下の理由かなと思う。

 まず、スマブレに与えられたオルフェノク=悪の価値観が根底にあるんでしょう。オルフェノク=悪で、仮面ライダーが倒すものだから、急に現れて私の巧さんと良い感じになってるおばさんもオルフェノクにしてしまえば排除できる!という幼稚な行動、良いでしょ。
 あとオルフェノクの可能性がどうとかうるさい!オルフェノクになって殺人衝動に飲まれちゃえ!っていう意識も絶対あったと思う。

 まあ実際は、オルフェノク化してアイデンティティクライシスな真理とスマブレに冷凍保存されてたせいでアイデンティティクライシスなたっくんがくっついちゃうんだけども。
 この真理と巧をくっつける完璧なキューピッドっぷりと、本人はそんな事望んでないピエロっぷりが大変良い。
 そして巧さん殺せなくて逃がしちゃうのも、最後北崎さんに消されてベルト取られるのも可哀想でいい。

 

 いつも通りのクソ短いVシネマの尺で、上手くキャラを立ててたと思う。かなり好きなキャラ。


 変身する様を見られるのを恥ずかしがる、という極端なキャラ付けも平成ライダーの手癖すぎて好きだよ。カブトとかにそういう設定の女いそう。

 

草加雅人について


 草加雅人あらため、草加雅人型ヒューマギアな彼ですが……こう、全てが凄かったですね。


 まず前半、乾の居ない今ならワンチャンあると真理ちゃんにアプローチする草加。20年経っても変わらないなぁ(死んでるはずだけど)。
 そんでもって、乾が敵として現れたら、一応皆の前では「乾くんは裏切るような奴じゃない」とか言いつつ、真理と二人っきりの場では「乾くんも変わってしまったのかもしれない」だの「俺が代わりに君を守る」だの気持ち悪い言葉を吐く、いつもの草加
 そして海堂の中華料理屋、ちゅーか(まずこれが何?)でカッコよく湯切りしてる草加は、視聴者の知らない20年を感じさせる。

 スマートブレインの襲撃をにいち早く気付いてちゅーかの客を逃がしたり、旧型のカイザで最新型も最新型のミューズと渡り合って見せる、歴戦の勇士感溢れる草加

 

 これ全部、草加を模倣したロボ草加がやってたんですか!?!??


 そんな衝撃に襲われる視聴者を置いて、ロボ草加は更に暴走を重ねる。
 手の平から銃を出して真理を攻撃!「どんな姿になっても君は美しい」と真理を口説くも、意識を修正されガチ殺しモード!そしてネクストカイザに変身して銃弾キック!(これいる?)
 ロボ北崎さんと纏めて、気持ちよく旧ファイズにやられる役も熟してみせる。

 しかもラストのラストで、別個体がスマートブレインの新社長になってるし……なんだコイツは!
 あの世界の日本政府、オルフェノクぶち殺しのために量産する人材のチョイスが変だよ!なんで草加のロボ2体以上作ってんだよ!!

 

 パラリゲの無茶苦茶さが集約したような草加ロボだが、意外と真面目な意味でも好きにはなった。
 草加を模倣してるので真理ちゃんを口説くが、最終的にはプログラムされた使命に逆らえず、オルフェノク殺しモードに移行しちゃう悲哀とか……

 その演出としてカイザフォン砕いてカイザフォンXXに機種変するのもキマってる。
 あとメタ的に、草加ロボ新社長VSたっくん達で新作やれる余地作ってるのも好き。現状クリフハンガーでしかないけども。
 次は「Vシネクス仮面ライダーカイザ 913th 逆襲の草加ロボ」とかそんなんでお願いします。シンギュラリティに達した草加社長がスマートブレインを乗っ取るやつ

 

・総評

 「そうそう、ファイズと言えばこれだよ~!」という描写と「ファイズってこういう作品だったっけ!?」という描写が交互に襲ってくる、不思議と痛快な映画でした。